母子家庭だけではなく、ひとり親のもとで育てられた子どもたちはどうしてもこのことをマイナスに捉えられてしまいます。
ですが、片親しかいないというのは本当にかわいそうなことなのでしょうか。
ネット上で言われるこの「かわいそう」について、これから具体的に何がかわいそうだと言われているのか、本当に母子家庭・ひとり親家庭はかわいそうなのかを母子家庭で育った私が実体験から考えていきます。
母子家庭の何がかわいそうなのか
具体的に母子家庭の何がかわいそうなのか、どんなふうに言われているのかをネットで調べてみたのでいくつかご紹介します。
ネットでは
- 「金銭的に余裕がなくて十分な教育が受けられない」
- 「ひとり親家庭は親といる時間が少なく愛情が不足しがち」
- 「親の都合で離婚をして、子どもがかわいそう」
- 「ひとり親のもとで育った子供は非行に走りやすい」
といった声がある一方、
- 「イメージとしてかわいそうというのはあるのかもしれないけれど周りのひとり親家庭に対してかわいそうだと思ったことはない」
- 「家庭によって違うのだから一概には言えない」
- 「当人が「自分はかわいそうではない」と思うのであれば周りがとやかく言うことではない」
といった声も多く見られました。
本来は二人いるはずの親が一人しかいないことによって欠けてしまうものがあるという意見はどうしてもあるのかなとは思いますね。
実際にひとり親家庭での非行少年出現率はふたり親家庭よりも高いというデータがあるようです。
かわいそうという意見の中には具体的に何がというよりも、そもそも両親がいないことがかわいそうだといった意見もありました。
ですが、実際に母子家庭で育ってきた私はこの意見に一言、そんなことはありませんと言いたいです。それはなぜか、その理由をこれからお伝えしていきます。
母子家庭はかわいそうではない。その理由は?
私が「母子家庭はかわいそうではない」と思う理由は、
『かわいそうかどうかはひとり親・ふたり親に関係なく、家庭次第だから』です。
とてもありふれた何の答えにもならない理由ですよね。
ですが、ひとり親でなければ、両親がいれば、それだけでかわいそうではないと言えるのですか?私はそんな風には思えません。
まず、実際にひとり親のもとで育ったと言っても環境は人それぞれです。
そのため、決して恵まれているとは言えない環境・親のもとで必死に我慢をしながら生活している人だっています。
ですが、もしその家庭がひとり親ではなければ状況が劇的に変わっていたでしょうか。
私は、おそらく変わらないと思います。親が一人でも二人でも、今の親が別の誰かになるわけではありません。
現在の状況に、もう一人親という立場の人が増えるだけです。
その環境を作った人と一緒にいる人ならば、それを良い方向に変えられる人である可能性よりも悪化させてしまう人である可能性の方が高いのではないかと思います。
それでも「両親がいればかわいそうではない」と思いますか?
この場合のふたり親家庭は特別なケースで、ほとんどは特別な問題がないごく一般的なふたり親家庭だとは思います。
ですが、それはひとり親家庭でも変わりません。たくさんの問題を抱えた家もあれば、両親のいる家と遜色ない生活をしている家もあります。
だから私は「母子家庭であること」が、かわいそうかどうかを決める要因にはならないと思っています。
それでも我慢しなければならないことは多いのではないか
かわいそうではないとは言っても「母子家庭」「父子家庭」と聞いてまずマイナスなイメージが先行しない方は少ないですよね。
正直なところ、我慢することは確かに多いです。
ですが私の場合は「親が一人しかいないせいで我慢をしなければならない」のではなく、「親が一人しかいないことを理由にさせないために自分のお金も時間も体力も精神も、すべてを子供のために犠牲にして頑張ってくれている母のために我慢している」のです。
しかし、これもひとり親のもとで育った全員に言えることではありません。
私は四人きょうだいですが、同じ環境で育っても考えはみんなバラバラです。
私自身は母子家庭で育つ自分が他と特別違うと思ったことはありません。
母が学校行事に来られないことも、あまり家にいないことも、休みの予定だった日の朝急に仕事に行くことになっても、全部「仕事だから」で納得していて、それに対して特に何かを思うことはありませんでした。
ですが、「学校行事に来てほしい」「お出かけする約束をしていたのに」と泣くきょうだいもいました。
おそらく母子家庭をかわいそうだと思う方からするとこれもそう見えるのだと思います。
「子どもだから寂しいと思うのも泣くのも当然だ」と。もちろん、どちらが正しいということでも、どちらが間違っているということでもありません。でも、私が何も言わなくても母は勝手に思ってしまうのです。
寂しい思いをさせて、自分が我慢をさせてしまっている、と。
私が何も言わないので母も直接何かを言ってきたりはしませんでしたが、してあげられないことに常に責任を感じているように見えました。
子どもが泣く度に「ごめんね」と申し訳なさそうな顔をする母を見ていると、泣いているきょうだいに対して「どうして泣くの」「どうして母を困らせるの」と腹が立つこともありました。
出かける予定を立てていたのに急に仕事が入って行けなくなったときは必ず次の休日に連れて行ってくれたり、学校行事のときは観に行けないからと手紙を書いてお弁当に入れてくれたり(私はこの手紙がとても好きでした)、運動会のときは頑張ったで賞をくれたり、いつも帰りが遅かったので毎朝出勤前に晩ご飯をつくってくれていたり、本当に十分すぎるほどたくさんのことをしてくれていました。
そのため、私が思い出せる限りで母子家庭だからが理由でしなければいけなかった我慢はありません。
母は子供に我慢をさせないように行動してくれていましたが、もしこれが「仕方ないでしょ。我慢しなさい。」と全く子供を気にする様子がなかったら私の意識も違っていたと思います。
させられた我慢ではなく、母親だけでも父親がいてもいつも子供のために行動してくれる人ならば私はきっとその人たちの負担にならないように行動すると思います。
最後に
母子家庭で育つことはかわいそうではありません。
我慢をすることもありますが、それをさせてしまうことは「かわいそうなこと」と同義ではありません。
私の場合は私たちのために我慢をしてくれている母のために我慢をしているのです。
ですが、とても残念で腹立たしいことにきょうだい四人のうち二人は自分たちのためにしてくれることが当たり前だと思っています。
穴埋めをしてくれることが当然、子どもを優先することが当然、自分は我慢しているから甘やかされて当然だと今でも思っています。
もし、我慢ばかりさせているのではないかと不安なお母さん・お父さんがいたら責任を感じなくていいとは言いませんが責任感から負い目を感じて甘やかしすぎないようにはしてください。
同じ環境で育っても捉え方や考え方はそれぞれ違うのでどう行動するのが正解なのかはわかりません。
でも我慢をさせたくないと思い、そのために何ができるのかを考えてくれる方であればそんなに気負いすぎなくても大丈夫です。
経緯にもよりますが「親が一人であること」を気にしていない子もたくさんいるので、特別なことだと思いすぎず、家庭にあった親子の形を築いてください。
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました!
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