通信制卒業者が考える通信制高校のメリット・デメリットまとめ

通信制と言っても公立と私立では全く違うので一概には言えませんが、公立の通信制高校を卒業した私が実際に通って感じたこと、またメリット・デメリットになり得るだろうと思ったことをご紹介します。

全日制とどう違うのかを知ることで、より具体的に通信制高校をイメージすることができるようになります。

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私が思う通信制のメリットは6つあります。

1.毎日学校に行かなくていい

やはり通信制の特性の一つである登校頻度の少なさは大きなメリットです。

単純に学校に行きたくない人、何かをするための時間をつくりたい人、通信制を選ぶ人にとって最も決め手となるポイントがこの登校頻度だと思います。

2.同級生との関りがほとんどない

学校生活において面倒な人間関係ですが、通信制ではこれについて悩むことは少ないです。

メリットの1つ目に挙げたように通信制は全日制・定時制と違い登校頻度が少ないのでそもそも同級生に合う機会がほとんどありません。

そして必修科目以外は選択制なので同じ学年でも科目が違えば接点はほとんどなくなります。仲良くなった人以外名前もわからない、正直誰が同じクラスなのかもわからないレベルです。

3.自分のペースで学習できる

通信制のメインの学習は自宅でのレポート作成です。

レポート1枚1枚に提出期限があるわけではなく、そのレポートが対象になっているテストの日までに合格していれば問題ありません。サボらなければ、期限に迫られてストレスをためることなく自分のペースで学習に取り組めます。

私はアルバイトと並行してレポートを作成するやり方は自分に向いていないなと思ったので、やる気がある最初の2か月はアルバイトを週2~3日にして、1年間のレポートの8~9割を終わらせるようにしていました。

そして、1回目のテストが終わってからはレポートに追われることなくアルバイトをしていました。

決してアルバイトと並行できないほどのレポート量ではありませんが同じペースで続けられるモチベーションがなければ難しいので、がっつり仕事をしながら両立させている方はすごいなと実感しました。

4.アルバイトができる

通信制は『生徒が働いていること』が想定されているので学生としての生活がメインではありません。

やりたいことのために時間をとりたい人や、仕事をしている人以外は時間に余裕ができます。そのため、中学からそのまま通信制高校に入学した人のほとんどがアルバイトをしながら生活します。

全日制ではアルバイトは学校の許可がなければできないところがあったり、できたとしても学校帰りの数時間や休日のみだったり、制限がかかる上にかなり大変です。

通信制は「せっかく時間があるのだからアルバイトをした方がいいよ」というスタンスです。
卒業すれば全日制や定時制と同じように高卒資格を得られ全日制や定時制よりも高校在学中にお金を貯めることができるのです。


通信制高校のアルバイトについてはこちらで詳しくお話ししているので、通信制に行ってアルバイトをしようと考えている方はあわせてご覧ください。

5.趣味の時間をつくることができる

先程申し上げた通り、通信制はかなり時間に余裕ができるのでアルバイトをしていも趣味(やりたいこと)の時間を確保できます。

メリットの3つ目にも書きましたが学習のペースは自由なので、初めにまとめてレポートを終わらせても問題ありません。まとめて終わらせてしまえばあとはかなり時間がとれます。

アルバイトをしている場合でも、ほとんどの人は103万円までだと思うのでレポートに時間をかけすぎなければ「レポートは終わっているけど、毎日バイトで好きなことをする時間がない」という生活になることもありません。

自分次第で時間をつくることができるので、レポートに取り組むモチベーションの1つになります。


時間になれば授業が始まる学校とは違い、自宅で学習するには自分で『勉強する時間』をつくる必要があります。

しかし、学習することが習慣づいていない場合、生活の中で「今から勉強しよう」と気持ちを切り替えることは難しいです。そのため、勉強するためのモチベーションはとても重要です。

実際、この『趣味の時間をつくることができる』というのは私が通信制に通っていた時の最大のモチベーションになっていました。教科書を開くことすら面倒だと思った時も「今やれば、好きなことに使える時間が増えるんだから。」と思って自分を動かしました。

全日制や定時制に通いながら103万円を目指すと、学校終わりも休日もアルバイトをしなければなりません。アルバイトに時間を割くとやりたいことのために時間はとれません。

学校で過ごすことや誰かと何かをする時間を大切にしたいのであれば十分かもしれませんが私はそれに価値を感じないのでそういう人にとっては自分次第で趣味の時間をつくることができるのは大きなメリットだと思います。

6.マイノリティーがマジョリティー

メリットと言えるかはわかりませんが、通信制は全日制と比べて圧倒的に『』です。

自習室では、携帯電話を触る人や寝ている人、黙々とレポートを作成する人など様々でした。

受講している科目が違うので各々時間になったら科目の教室に移動し、お昼休みになれば空いている教室で自分のタイミングで昼食をとり、その日自分が受講する科目が終われば帰ることができます。

みんなバラバラで静かな教室はとても居心地がよかったです。

中学のころ、私の周りには『誰かといること』が普通で「自分は1人になりたくない」と考える人が多く、「1人でいることが好き」だと言うと理解できないといったような口振りで「友達といる方が楽しいじゃん。」と言われました。ですが、通信制では1人でいることを選ぶ人が多く『誰かといること』にこだわっている人の方が少数でした。

「多数派だから」「少数派だから」ではなく、今自分がいる環境が合わないと感じているのであれば、少し環境を変えてみてもいいと思います。

ここからは通信制のデメリットを4つご紹介していきます。

1.自己管理が必要

通信制は全日制とは違い毎日登校するわけではなく、受講する科目の必要な出席時間数と時間割を照らし合わせてスクーリングの予定を立て登校する日や時間を決めます。

詳しくは通信制高校とは 出身者が語る通信制ってこんな学校をご覧ください。

毎月の学習進度表を確認しなければ「必要な時間数は出席したからもうスクーリングに行かなくていい。」と思っていたのに実際は1時間足りずに単位を取得できないという状況になる可能性もあります。

また、自宅での学習は気持ちも含め環境をつくることが難しいのでその環境をつくる努力も必要です。

いつでもできるからいつまでもできない

は、あるあるじゃないかなと思います。
がっつり仕事をしている人は仕事の合間を縫って着実に進めていきますが、時間を確保しやすい人は「明日やればいい」「時間はまだあるから今はいいや」、スクーリングに関しても「また次の時に受ければいい」と学習以外のことを優先させてしまいます。

そうして結局「テストまでにレポートが終わらない」「規定日までに必要な出席時間が足りない」という状況になってしまいます。

2.通学に時間がかかる

通信制高校は全日制と比べ学校の数が少ないので一番近くても片道1時間はかかるというのも珍しくはありません。

実際に私が通っていた頃は片道2,3時間かけてきている人は何人もいました。週で登校日数が決まっているような学校では通学時間はかなり重要になると思います。

私は年に15回ほどのスクーリングに片道2時間をかけて行っていましたが後半は学校に行くことが面倒に感じていたので、できるだけ登校日数が少なくなるように、4月に1年間の時間割を確認しながら1日で多くの科目に出席できる予定を立て、その予定通りに登校するようにしていました。

ただ、このやり方だと必要な出席時間数ぴったりの予定になってしまい、もしどこかで「今日は行けなくなってしまった」という日があるとその後の予定をすべて組み立てなおす必要があるので登校できる日はできるだけ出席するようにし、余裕をもってスクーリングに行くことをおすすめします

3.高校生活は楽しめない

これがデメリットになるのかどうかは人によりますが、青春云々をご希望の方には通信制はおすすめできません。

メリットの方でお話ししましたが通信制は圧倒的に『個』です。
クラスで何かを創ったり、同級生と同じ時間に同じことを経験したり、全日制の生徒が思い出として語るようなことは通信制ではほとんどありません。

ですが、私は中学よりも高校の方が楽しくて充実していました。

何が楽しいのかは人によって違いますが、「期待して入学したけど思っていたのと違った」とならないために頭の片隅に置いておいた方がいいと思います。

4.イメージ

通信制のイメージは改善されつつありますが、正直まだ「通信制に行く人は何か問題がある」というイメージをもっている人はいます。

これが間違いだとは言えませんが、通信制というだけでそう判断することは間違いです。

私の経験では通信制と言うと「自分で勉強するんでしょう?偉いね。」「通信制は大変って聞くよ?」と悪いイメージをもっている人はいませんでしたが、もしかするとアルバイトの面接などでこれが不利に働いてしまうことがあるかもしれません。

実際に通信制への理解はまだまだ浅いです。私がアルバイトの面接に行ったときに、高校生でありながら平日の日中も勤務可能であることや特定の曜日は時々学校があり勤務できないことを伝えると、あまりピンときていない様子で、通信制について説明したことがありました。

しかし、それで面接に落ちたということはないのであまり気にせず、もし通信制と言っていい顔をしない人がいれば「こういう人もいる」と割り切りましょう。

最後に通信制のメリット・デメリットをまとめます。

メリット

  • 毎日学校に行かなくていい
  • 同級生との関りがほとんどない
  • 自分のペースで学習できる
  • アルバイトができる
  • 趣味の時間をつくることができる
  • マイノリティーがマジョリティー

デメリット

  • 自己管理が必要
  • 通学に時間がかかる
  • 高校生活は楽しめない
  • イメージで不利益を被る可能性がある

以上が通信制高校を卒業した私が考える通信制のメリット・デメリットです。

当然、通信制だけでなく全日制や定時制にもメリット・デメリットがあります。

ここでデメリットとして挙げたものは通学時間以外、私にとって特に問題ではなかったので通信制は理想的な環境だったのですが、人によってはここでメリットとして挙げていることがデメリットになることもあるので「楽そうだから」ではなく自分に合うかどうかをよく考えてから選択してください。


通信制に進むことを迷っている方の決断に、少しでもお役に立てる記事になっていれば嬉しいです。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

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