通信制高校を選んだことで不登校だった私は再び学校へ

通信制高校にどんなイメージを持っていますか?
また、これを見てくださっている親御さんは自分の子どもが「通信制高校に行きたい」と言ったら何を思い、どう反応しますか?


近年通信制高校の生徒数は増加しており通信制を選択する理由も多様化しています。

ですがまだまだ世間の認識としては「訳アリ」、親の目線では「全日制に行ってほしい」と思われていることは否定できません。

そのため通信制に行きたいと思っていても、周りの反応や「やっぱり全日制のほうがいいのではないか」と考え迷うこともあるでしょう。

この記事では通信制高校を卒業した私がなぜ通信制高校を選択したのか、その選択によって何が変わったのか、親はどんな反応をしたのかということをお話ししていきます。

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全日制高校は諦めていた

私は中学のころ約一年間不登校になり、それとは別に行ったり行かなかったりを繰り返していた期間もありました。

原因やきっかけを聞かれても即答できる一つの答えはなく、何か答えを出すとすれば、それは複数の原因が重なった結果です。他人にとっては本当に大したことではない「そんなことで」と言われるようなことだったかもしれません。しかし私にとっては「行かないといけない」という思いだけでなんとか行き続けた学校に行く意味を持つことができなくなるほどで、それ以上学校に行き続ける自分を想像できなくなってしまいました。

不登校になった理由についてはこちらで詳しくお話ししています。

不登校になる前から学校に向いていない自覚があり、中学で不登校になってしまったので、もう学校という場所に行くことは難しいと考えていました。そのため高校に入学しても三年間登校するのは無理だと何となく諦めている部分があり、高校について何も調べたことがありませんでした。

それでも、中卒でいいと割り切れる性格ではなかったため行く気はないのに、高校は卒業しなければいけないという焦りだけは常にありました。

通信制高校の存在

高校に行っても毎日通い続けることは絶対にできない、でも高校は卒業しないといけない、と焦っていた日々の中、出会ったのが通信制高校という選択肢です。

学校は毎日行くものだという考えしかなく、諦めて何も調べなかった私は通信制高校の存在自体を知りませんでした。

しかし、身内が通信制高校に通っていた知り合いに「こういう学校もあるんだよ」と教えてもらい、通信制高校についての話を聞いているとそのすべてが理想通りで、私は迷うことなく、高校に行くなら通信制高校だと決めていました。

「楽そうだからと軽い気持ちで決めたのではないか」と感じた方がいるかもしれません。

ですが当時の私には通信制高校を卒業する自信がありました。一番ネックになっていた「毎日登校する」これがないだけでも十分でしたが、毎日登校したくない、家でもできる勉強なのにわざわざ学校に行って何時間も授業を受けたくない、学校にいる時間をアルバイトに使いたい、これらの他にも私が中学の時にこうなればいい、こうしたい、と考えていたものがそのまま形になったような場所で理想的な環境だと思いました。学習面でも特に心配はしておらず通信制高校を教えてくれた知り合いにも「全く問題ない。余裕だと思う。」と言われ、迷う要素はありませんでした。

そしてこの決断が不登校だった私が再び中学校に行くための最大のモチベーションとなりました。

心が軽くなった

「通信制高校に進学すると決めたことが不登校から脱するための最大のモチベーションになった」というのがどういうことかと言うと、

それはつまり「残りの中学校生活を無理に頑張らなくていいと思えるようになった」ということです。

私にとって学校は頑張らないといられない場所でした。
毎日登校することもそうですが、全く楽しいと思えないのに同級生と笑って会話をすること、小学生の時から抱える「できることが当たり前」のプレッシャーの中勉強すること。毎日学校に行って勉強をして友達と会話をする、ほとんどの人が送る普通の学校生活ですが、私にはとても窮屈で居心地が悪い毎日でした。素の自分にとっては窮屈な日々でしたが、それが学生の生活なので、少しでも苦痛に感じないように、普通の何の問題もない学生に見えるように小学校の時から自然と毎朝玄関を出た瞬間から「学校での自分」に切り替わるようになっていました。

そのため、家族には「外面だけはいい」と何度も言われてきました。


その外面でしかいられない学校に耐えられなくて不登校になりましたが、「高校に行かないわけにもいかない、しかし不登校の自分が全日制の高校に行くには残りの期間で出席日数を増やしてテストで点を取りそこそこの成績をとる必要ある」。苦痛でしかないとわかりきっていることに踏み出すことができませんでした。

ですが、通信制に行くと決めてからこれらのことは気にならなくなりました。

通信制は不登校だった人も多いので出席日数は関係なく、私が受験すると決めていた学校の入試は面接のみだったので勉強を特別頑張る必要もありませんでした。そのため、残りの中学校生活を「ダメなときは休んでもいい、無理をして今まで以上に点を取ろうとしなくていい。」という風に考えられるようになりました。

「行かないと」「ちゃんとしないと」と思っていた時はそれを考えれば考えるほど動きだせなくなっていたのに、考え方が変わって心が軽くなってからは行動に移せるところまで「行こう」という気持ちをもっていくことができ、約一年の不登校を経て再び学校に行き始めるようになりました。

そこから二、三か月は行ける日もあれば行けない日もあるというような状態でしたが、それ以降はほとんど毎日登校していました。テストは納得できるまで勉強をして、ある程度点が取れる自信があるときは受け、取れる自信がないときは受けないという風にして継続することを第一に、何とか最後まで学校に行くことができました。

親の気持ち

私は通信制高校進学を決めたことで精神的な余裕ができ不登校から脱することができましたが、親にとってはあまりいい選択ではなくかなりギリギリまでその決断に納得していない様子でした。


私は不登校になってからもテストは受けに行っており、精神的な余裕がなく受けないときもありましたが、受けるときはテストの範囲表をもらってから自分で教科書を読んで勉強をし、大体上位10パーセントに入ることができる程度の結果でした。

学力的に厳しいと思えば通信制進学の選択肢をもっと早く受け入れられたのかもしれませんが、本人の意思と実際に行けたかどうかは別として、普通に学校に行っていれば県内でそこそこの学校に行ける可能性がある点数だったので、母としてはもったいなさと、とにかく普通に全日制に行ってほしいという思いがあったのだと思います。

通信制は自分で勉強をして計画を立てて取り組まなければ卒業できませんが、その点に関して心配している様子はありませんでした。「通信制に行っても卒業できるかわからないから」ではなく「行ける能力があるのだからできればいい高校に行ってほしい、最低でも全日制に進学してほしい」という期待と母の中での妥協、「父親がいないことで他の子と差がついてしまわないように自分一人でちゃんと育てないと」という母親としての責任から母が難色を示していることは理解していました。

上のきょうだいが不登校だったので母は、いつかこの子も同じようになるかもしれないとずっと不安だったと思います。そしてそれが杞憂では終わらず私が不登校になってしまい母が望まない結果となりましたが、それでもどこかで「この子は勉強ができるから、学校さえ行ければ何とかなる」そう考えていた部分があったと思います。そして、私が再び学校に行けるようになり、そのきっかけが「通信制に決めたから」だと何となくわかっていても、学校に行けるようになったのだから通信制なんて行かなくていい、全日制に行けるのではないか、とギリギリまで全日制にこだわっていました


しかし、母が思っている以上に私はどうしようもない子どもで、全日制の高校を卒業するのは不可能だと自分自身が一番よくわかっていたので決して折れることはありませんでした。

通信制以外を一切考えていない私を見て最終的に母は、

「必ず三年で卒業すること」

を条件に出し、私は通信制高校に進学しました。

通信制高校に進むこと

親からすれば、「通信制高校は進学・就職に不利になるから」「卒業できるかわからないから」と手放しで賛成できる選択ではないかもしれません。

ですが、できること・できないことは人によって異なるので全日制を卒業するのは難しくても通信制なら卒業まで取り組むことができるという人もいます。

大切なのは自分に合っているかどうかです。
私は入学前から三年での卒業は可能だと思っていて実際無事に三年で卒業しましたが、公立の通信制は三年での卒業率が四割以下と言われるほど卒業率が低く、全日制とは違い単位数やスクーリング時間を自分で管理しながら一年の予定を立て実行していく必要があります。

全日制より勉強が簡単そうだから、楽そうだからという理由で入学した人は大半がレポートを提出しなくなったりスクーリングに出席しなくなったり、入学前とのギャップから卒業までたどりつくことができません。

そのため、通信制高校の特徴や自身の性格などを考慮したうえで選択肢の一つにしてください。

通信制進学を考えている方、全日制への進学が難しいと考えている方のお役に少しでも立てれば嬉しいです。

通信制高校についてはこちらの記事で詳しくお話ししています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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